ある年のクリスマス(後編)

サンタさんからの贈り物、新しい友達のタラバガニ。
お父さんがエドワードという名前をつけてくれた。
そのくせ、ことあるごとに「少しなら大丈夫」と食べようとするお父さん。
でも、友達を食べられるわけにはいかないよね
 
僕とエドワードはなかよしだった。
じゃんけんしたり、歯をみがいたり、かけっこしたり、
いつも一緒だった。
 
そんなときお父さんが「手がハサミなら氷細工くらいできるだろう」って
エドワードにやらせようとしたんだ。
「出来なきゃ食べてもいいよね?芸が出来なきゃね」って。
でも、エドワードは出来なかったんだ。
がんばったんだけどできなくて
あやまって僕の手を切ってしまった。
 
それを見てお父さんは「大樹に怪我をさせた」とか
「鍋の季節が終わってしまう」とか
どれが本当の理由かわからないけどそういって食べようとしたんだ。
 
悲しいけどお父さんは言い出したら聞かないので
僕はエドワードを逃がしたよ。
そう、エドワードの生まれ故郷の海へと。
 
エドワードは雪を降らせたりはできないけど
今も能登半島の方で「波の花」を起こしているんだ。
ブクブク起こしてるんだ。