HDD

機械というか科学技術というのは案外スマートでなかったりする。
科学万歳主義者のつもりなのだが、
電力供給の3割を賄おうかという勢いの原子力発電も蓋をあければ
お湯を沸かして水蒸気でタービンをまわしているだけである。
石炭で電力を供給する方法と同じ方法しか思いつかない現代科学なのだから
冷凍睡眠から目覚めた過去からきた人に「未来、出し惜しみしてない?」と
勘ぐられてもいたしかたないことだと思う。
 
「最先端技術を使って力業」というのに魅力を感じる場合もあるのだが
尋常でなく野卑さを感じるものがある。
その最たるものにHDDがある。
磁気ディスクを、毎分数千回もブンまわし、
磁気ヘッドを0.02マイクロメートルのすれすれにして
ぐだぐだに断片化されたデータを無理やり読み取る。
 
「ジャンボジェット機を地上から数ミリメートルの高さで
超低空飛行させるのと同じ」とよく例えられるが、
この例えからしても「他にええ方法ないんのん?」と言いたくなる。
 
そんなアクロバティック技術満載の塊に音楽データを入れて
持ち歩こうというのだからいつ壊れてもおかしくないように思う。
 
だから自分の思う通り動かなくなったといって怒っては行けない。
持ち歩く際はディスクの回転に変化をもたらさぬように
磁気ヘッドの0.02マイクロメートルの高さが変わってしまわないように
細心の注意をはらわなければならないのだ。
 
そんなわけでiPodを買う際はshuffleにしようかなーとか考えてたら、
「液晶表示がないから曲わかれへんで?」といわれて
「それもそうやな」とあっさりはshuffleは中止。
まぁ、HDDもうまくできてるよ、きっと。
うまくいかないとしたら何か別の問題だよ、きっと。