傷痕

手首に傷痕がある。
切り傷が。
特に人に語る必要もない傷だが。
 
あの時は
ただひたすらに
眠りたかった。
何も考えたくなかった。
眠れさえすれば方法はどうでもよかった。 
 
 
 
 
 
 
夜中。文字どおり道を歩いて帰宅途中、
本当に眠くて、歩きながらでも寝れそうな勢い。
「歩きながらでも寝れるかな?寝れそう。寝て見よう」
という「アホの三段論法」で歩きながら寝てみた。
 
わずかながら眠れたようだが
次の瞬間には車道にうつ伏せていた。
路駐対策の古タイヤに蹴つまずいたようだ。
おかげで腕時計粉砕。
1週間前に取り替えたばかりの時計のベルトで
手首切ってました。
 
やはり人に語るような傷ではないね。