うちの犬1

最初は親戚のおじさんがもらってきた。
雑種の真っ白い子犬。
ちょっと紀州犬がはいっていた
 
タツの中にもぐりこんで遊ぶのが好きなその子犬は
「キュウキュウ」なくので「キュウ」と
なずけられた
 
大きくなるにつれてその女の子は
本当に真っ白に
本当に賢くなった。
ちょっと甘やかされすぎてわがままなところはあったけれど、 
落ち込んでいると心配そうにのぞき込んで顔をなめてくる、
そんな子だった。
道行く人が奇麗な犬だというくらい色白美人だった。
 
東京に半年間出張していて、もうじき帰るというころに家から電話がはいった。
キュウがいなくなったという。
雷が怖くて怖くてパニックになって飛び出していったという。
親に怒鳴った。
自分が家にいれば、一晩中でも抱っこしていてあげられたのにと
思うと悔しくてたまらなかった。
 
家に戻るなり探し回った。
張り紙もしたが情報もなかった。
いなくなった日、真っ白い犬が車に轢かれたらしいという話以外は。
 
キュウがその犬だったどうかはわからない。可能性が高いとも思う。
だが自分の目で見ていない限り、たとえ戻ってこなくても生きている
可能性があると思っている。