つかむということ

芸人の「ノッている状態」というのはかなりおもしろい。
たいしておもしろくない内容でも場が期待している状態だと
「反射」にちかい反応で笑ってくれる。
それを自分たちの腕であると勘違いしてつぶれていく芸人も多いけど。
 
ただ、この「客が受け入れてくれる状態」というのが非常に大事で
これが作り出せればほぼ笑いがとれる。
 
この「客が受け入れてくれる状態」というのは笑いに限ったことではない。
ほとんどの事柄に言える。
スポーツ競技などその最たるもので「160キロでボールを投げる」
「氷の上で滑って4回転する」「少ない回数で遠くの穴にボールを入れる」
等々、「なんの意味がある?」といわれればそれまで。
それぞれに「競技であるという前提条件」があるために客は「受け入れてくれる」
のであり単純に「普通はできないからすごい」では「出来たらどうなの?」で
片付けられてしまう。
 
まだスポーツの場合ははっきりしている方だ。
優劣のわかりにくい採点競技ですら3回転よりも4回転の方が点数が高い。
「客が受け入れてくれる状態」というのが明確だ。
 
人気商売の場合はこの辺がすごく曖昧。
いまさら「ゲッツ!」と言ったとこで誰も笑わない
4回転は他に誰もできなければトップでありつづけられるが
「ゲッツ!」は飽きられるのだ(最初からおもしろくないという意見もあるが)
 
「客が受け入れてくれる状態」を作り続けられる一握りの人間だけが
トップでありつづけられるのだろう